場面は変わり、マービン博士と妻のキャロルが車で仕事場である宇宙線見測所へと向かうシーン。報告書をテープに吹き込んでいる二人の前にいきなり円盤が出現する。円盤は二人を挑発するかのように車の周りを旋回し、あわてた夫婦が車を止めて見上げると、ものすごいスピードで上空に消え去ってしまう。

映画のこの時点では、円盤が何をしたかったのかは全く不明。

ハリーハウゼンがこの映画を製作する際、実際に円盤を目撃した人物や団体に接触し、徹底的にリサーチを行っているという事を考慮すると、納得のシーンです。実際の目撃例を再現したのだろうと考えられます。いつでも円盤の行動は意味不明だからだ。この映画の公開後、実際の目撃例でのUFOの形や飛び方がますます画一化したらしい。

余談ですが、世界で初めて空飛ぶ円盤を目撃したのは実業家のケネス・アーノルドであると言われています。1947年、彼は自家用飛行機でワシントン州を飛行中、編隊を組んで飛行していた9機の飛行物体を目撃。その形状から『フライング・ソーサー(空飛ぶ円盤)』と命名された。

というのが通説だが、真実はそうではありません。

ケネス・アーノルドは後のインタビューに答えて、次のように語っています。
「コーヒー茶碗の受け皿を水面の向こう岸に水切りの要領で投げたときのような飛び方だったと言ったのだ。形が受け皿のようだったのではなく、受け皿のような飛び方をしていたと言ったのです。」

つまり、新聞記者が意味を取り違え、誤ってフライング・ソーサーという言葉を使用した結果、それが定着してしまったというのが真相。実際の形は遠すぎてよく確認できなかったそうです。
ケネス・アーノルドは「空飛ぶ円盤を見た」とは言わなかったのだが、マスコミが「空飛ぶ円盤」と報じたとたんに、世界中で「空飛ぶ円盤」の目撃例が続出したという事です。やれやれ・・・